EVP を選択する3つのステップ。現状把握・理想把握・選択
こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
企業が従業員に提供する価値である EVP ( Employee Value Proposition )の現状を把握し、EVPを選ぶ過程をまとめます。 ここで「EVP をつくる」という表現ではなく、「EVP を選ぶ」という表現をしているのは、EVP は魅力として存在しているからこそ EVP だからです。
逆に、 EVP に据えたい組織の特徴があるが、従業員がそこを魅力に感じていない場合は、実際に魅力にできるように強化していく「 EVP 候補」ということになります。 EVP 候補の場合は実際に定着理由の一つになるように魅力を磨き込むことになります。
EVP を選択する方法
- 従業員向けアンケートの実施 / 実態の確認
- 組織向けアンケートの実施 / 理想の確認
- EVPを選択する
1. 従業員向けアンケートの実施 / 実態の確認
既存社員にアンケートを実施することで、現状を確認します。 EVP 候補の項目は以下のページにあるような分類から選ぶとよいでしょう。
Define your Employee Value Proposition (EVP) and use it to attract candidates?
回答のうち上位3つ程度に関して、「なぜそこに強く魅力を感じているのか?」をフリーテキストで追加情報を得ることができると理解度があがるでしょう。
サンプルは以下にあります。
Sample of Employee Value Proposition survey questions
2. 組織向けアンケートの実施 / 理想の確認
組織としてここを従業員への訴求要素にしたいと考えていた採用ブランドにあたる要素を確認します。 アンケート内容自体は従業員向けのものと同じ項目でよいでしょう。
質問文だけ変わります。従業員版の場合は、「あなたは今この点に関してどのくらい魅力を感じていますか?」という視点になるのに対して、組織向けの場合は「組織としてこの点を従業員に対する魅力としてどの程度強く訴求したいですか?」という視点になります。
3. EVPを選択する
1, 2 のアンケート結果をもとに EVP を選択します。少なくとも 1 の結果がポジティブになっている上位項目が候補です。 その上で、その魅力が組織として本来意図したものだったかを 2 の結果と対比して確認します。
「魅力になっているならいいのでは」という視点もありますが、例えば
- プレッシャーがかからずゆるく楽に働ける
という理由で魅力を感じていた場合、組織として EVP にすえるのが好ましいとは限りません。
もちろん、当初魅力として想定していないものが実際には魅力になっていて、そのまま魅力として維持する EVP として選びたい場合もあるでしょう。その判断が必要です。
「EVP にどの程度の競争力があるか」という視点もあります。確かに魅力的だが比較的多くの企業で得られる魅力ばかりになっていて、しかも他社のほうが魅力の度合いが強いと、訴求しにくくなります。例えば少し前だとフルリモートワークは独自の魅力になりやすかったですが、現在では珍しくありません。「項目としては珍しくないが異常に質が高い」か「項目自体が独自である」というような EVP が少なくとも1つあると好ましいです。
これらをもとに EVP として外部に発信を強化し、今後も維持・強化していきたい項目を決定します。
EVP 候補
現在、社員が魅力と思っていないが、本来は組織の魅力として強化したい要素があった場合は、 EVP 候補として実際に魅力に感じてもらえる状態にするための具体的な施策を走らせていく必要があるでしょう。しばらくして再度サーベイを実施して、魅力が強化され EVP と呼べる状態になっていることを確認しましょう。
階層別の EVP
前回、階層別の EVP についてまとめましたが、階層別の視点における EVP の選択も考えてみます。
ここまでまとめたのは Organization EVP として、残るは Team EVP, Job EVP です。 例えば、「部門単位での訴求要素の整理」「職種単位での訴求要素の整理」をしたい場合です。
基本的な流れは全社版と同じで
- 従業員向けアンケートの実施 / 実態の確認
- 部門向け or 職種関係者向けアンケートの実施 / 理想の確認
- EVPを選択する
の流れです。確認項目はそれぞれのコンテキストに沿った内容にします。
まとめ
EVP の選択方法についてまとめました。 EVP が決定したら、発信と維持・強化です。
発信については、エビデンスとなるブログや定量的な情報をまとめて外部へ発信をしたり、採用関連の導線に配置していくことで組織の魅力を確実に知ってもらえるようにします。出発点が現状の社員が実際に感じている魅力なので、魅力は存在しているはず。エビデンス強化の協力をしてもらいましょう。面談、面接に備えて EVP として語れるストーリーを用意しておくのもよいでしょう。
維持・強化については、現在の魅力が意図的に磨かられたものであれば維持すればよいですし、説明できない状態で存在している場合には魅力が何から生み出されているかを把握し、維持可能にします。また、更に魅力を磨いていくためにできる施策を考え、実施していくことで EVP の採用競争力を高めます。